愛しのご主人様



え?そのあとどうなったかって?


ざっと説明しましょう。



―――――――――――
――――――――――
――――――――…



『…ひ、陽岡先輩…』


『ん?』


『あたし…帰ります…』


いきなりのキスで気が動転してたのか。


自分でもわからないうちに、そんなことを口走っていた。



『おい、雪乃?』


陽岡先輩はあたしの異変に気付き、あたしの腕を掴んだ。



『何ですか…?』


真正面で向き合うのが、なんだか気まずくて、あたしは俯いた。



『いや…その、いきなり…悪かった』


『だ、大丈夫です…。
ちょっとびっくりしちゃっただけで』



大丈夫なんかじゃなかった。


ドキドキが止まんなくて、焦ってた。


なんでこんなドキドキしてるのか、

なんでこんな胸がキュッてなるのか…


わからなくて焦ってた。


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