愛しのご主人様
「あ、はいっ?」
白鳥先輩の声に、ちょっとびくっとして答えた。
「…2人で抜けようよ…」
白鳥先輩は、コソッとあたしの耳元で囁いた。
「ふぇっ」
ぬ、ぬける!?
2人っきりで!?
「陽岡、ちょっと雪乃ちゃんとデートしてきていい?
ふ・た・り・き・り・で♪」
白鳥先輩は、陽岡先輩にそういうとグイッとあたしの肩をつかんだ。
そんな白鳥先輩の行動に「へっ」なんて間抜けな声が出る。
「…行ってくれば」
陽岡先輩はそう言い放つと、フイッと視線を逸らしてあっという間に消えてしまった。
……自惚れてたかな、あたし。
「陽岡先輩は、止めてくれる」なんて、心のどこかで思ってた。