愛しのご主人様
「あれー、桐弥じゃん!」
イライラMAXの俺に声をかけたのは、クラスメートの女子だった。
「…なあ、健吾見なかった?」
汗を拭って、一呼吸置いて聞いてみた。
「健吾ー?あぁ、さっきこの近くの公園で見たよ。
女の子連れてたけどデートじゃないの?」
「デートじゃねえよ…」
「え?」
また何言ってんの、俺。
ヤキモチみたいじゃ…ん…?
“ヤキモチ”…?
「桐弥?」
クラスメートの声にハッと我に返る。
「あ、わり…。ありがとな」
「どーいたしましてー」