‐Fear‐
 警察署の一室。

 机を挟んで優太の前に座ったのは佐伯理恵菜だ。
優太は下を向いたまま座っている。

「初めまして、優太君。」

「初めまして。」

 僅かに聞こえる程度の小さい声で返事をする優太。

「弁護士がついたからってあなたが容疑者って事じゃないわ。日比野さんからの依頼で私は話を聞きに来たの。」

「…先生が?」

「私も先生もあなたを助けたいの。気分はどう?…こないだ倒れたって。しょうがないわよね、色んな事が起こり過ぎて。」

「……。」

「事件のこと、聞かせてくれるかな?」

「…今日は…帰ってください…。」

「え!?」

 立ち上がる優太。

「…わかったわ。また来るね。」





 何か変な事言ったかなぁ…。はぁ。
理恵菜は反省しながらトボトボと警察署を後にした。
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