‐Ｆｅａｒ‐

　警察署、取調室。

「なぜ小林家の周りをうろついていた？何日かお前を見たという目撃者がいる。」

「それは…。」

　高校生くらいだろうか？若い男が刑事に睨まれ怯えている。

「父が…あ、あの再婚したから気になって様子を見に行って…。」

　男は小林の息子だった。離婚後母親に引き取られたが、離れた父親の事はいつも気になっていた。
偶然知り合いが父親がいる会社で働いている事がわかり、住所を調べたのだと言う。

「ただ…どんな人と結婚したのか、どんな家族なのか気になっただけです。そう…それだけです。」

　男の名は新島英明。この日は証拠不十分で帰された。




　警察署、捜査一課。

「何が犯人だ、吉岡。」

　干潟が吉岡を睨む。

「はは…。でも可能性はなくはないですよ。母親を捨てた父親の幸せそうな家庭を見て、殺意が…。」

「う～む…。でもアリバイがあるがな…。」