‐Fear‐
 面会室。

「息子…いたんだ。そいつが犯人!?」

「いえ、まだ重要参考人って程度ね。」

 理恵菜は新島英明の事を優太に伝えた。
優太は自分が多重人格ではない…疑いが晴れるかもしれない…顔が少し明るくなっていた。

「優太君、今日から病院よね。ここにいるより休まると思うわ。落ち着いたら親戚の家に、香澄ちゃんの所に行きましょう。」

「そうですね…。」

「……あなたは病気なんかじゃないわ。自分を…自分を信じてね。」

 意外な理恵菜の言葉に優太は声が詰まった。

「日比野さんの所へ連れて行ってるけど、私は優太君が多重人格だなんて思ってないから。優太君を信じてるからね。」

「…あ、ありがと…。」

 優太は泣いていた。
それは、あの事件の日以来初めて流す涙だった…。





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