‐Fear‐
 日比野精神医療センター。

 理恵菜と日比野がお茶を飲みながら話している。

「病院の人達は嫌がるかもしれないが、たまに優太君に会いに行こうと思ってる。…大丈夫。無理にカウンセリングしたりしないさ。」

「そうね。でもできるだけそっとしといて。そのうち香澄ちゃんの所へ…。香澄ちゃんだって本当は一緒に居たいんだと思うわ。」

「そうだな…。それで君は?」

「優太君のお父さん…別れたお父さんの所へ行ってくる。」

「ああ…警察が行った時は煙たがられたみたいだが?」

「ええ、事件の後も協力的じゃないみたいだけどアポ取ってみるわ。」

「そうか。熱心なのはいいが、君も体を大切にな。…たまには一緒にゆっくりメシでも行くか?」

「…遠慮しとくわ。それじゃ、また。」



 部屋を出てゆく理恵菜。

「ふっ、フラれたな。」

 日比野は笑いながら伸びをした。
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