‐Fear‐
第5話『僕の友達』
 ピンポーン

 一軒家のドアのチャイムを鳴らす男。40歳くらいのスーツ姿だ。

「はい…。」

「優太くんの担任の志水と申しますが。」


 ガチャ。

 ドアを開けたのはジャージ姿の女の子。香澄だ。

「こんにちは。お葬式の時会ったのおぼえてるかな?優太君の担任の志水だけど…優太君はいる?」

「すいません。お兄ちゃんは違うとこに住んでて…ここにはいないです。」

「そうなんだ。どこにいるの?」

「……。」

「言えないのかな?」

「いえ…。電話番号なら知ってますけど。」

「そっか。じゃ教えてもらえる?連絡取ってみるよ。」

「はい。」


 連絡先を受け取る志水。

「ありがと。それじゃ、お邪魔しました。またね。」

 立ち去る志水。香澄は行儀良くお辞儀をして見送った。


「お兄ちゃん…。いつまでいるんだろ。もう一緒に暮らさないのかな。」

 香澄は悲しげにそう呟いた。
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