‐Fear‐
 「ただいま。あれ?」

 家に着いた理恵菜は玄関の見慣れない革靴に驚いた。

「お邪魔してるよ。」

 リビングで茶をすすっているのは日比野だ。

「あら、めずらしい。」

「すいません、勝手に部屋に入れちゃって…お茶も。」

「ううん、いいのよ。優太君が謝る事ないわ。」

「謝るのは俺かい?」

「何か用?先生さん。何その写真?」

 テーブルに一枚、写真が置かれている。

「これ、どう思う?」

 写真を手に取る理恵菜。

「これ誰?何で顔が切り取られてるの?」

「さあな。それ…家族写真に見えないか?」

「でも…優太君と香澄ちゃんの他には子供いないでしょ?親戚の子とか友達じゃないの?」

「そうならいいが。何故顔を隠す?」

「さぁ…。優太君この子知ってる?」

「いえ、知らないです。」

「だいたいこの写真どうしたの?」

「それは…。」





「不法侵入じゃない!泥棒じゃない!」

「う…。だから警察には言ってないよ。」

「当たり前でしょ!まったく。まぁ、あいつが何盗られたっていいけどさ。」

「何か…直感で、持っていかなきゃって思ったんだ。」

「で、これが何かのヒントになるの?」

「わからないけど。う~ん…感じからすると女の子。香澄ちゃんは知らないかな?」
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