‐Fear‐
 次の日-
 香澄の家に訪れた日比野。ドアホンで対応したのは香澄だ。

「はい。」

「お電話した日比野ですが。」

「あ、はい。お待ちください。」


 ガチャ。
 玄関の扉が開き中に入る日比野。

「どうぞ。」

「いや、ここで大丈夫。元気そうだね、安心したよ。」

「あ、はい。」

「早速で悪いんだけど。」

 写真を香澄に手渡す。


「…いえ、知らないですね。」

「そっか。まだ二人とも小さい頃の写真だけど、同い年とかの友達か何かだと思ったんだけどな。」

「こういう写真撮ったおぼえないですね…。これ、どうしたんですか?」

「あ、うん。お父さんに借りたんだ。」

「…お父さん?そう…。」

「ごめんね、くだらない事でお邪魔しちゃって。じゃ、また…。」

「あ、ちょっと待ってください。…お兄ちゃんは、まだ一緒に暮らせないんですか?」

「ん、もう大丈夫だと思うけど…。本人の意思じゃないかな?それか弁護士の。」

「そうですか。」

「やっぱり…さびしいかな?」

「いえ…、お兄ちゃんかわいそうだなって。それに…前にひどい事言っちゃったから、謝りたいし。」

「そうなんだ。大丈夫、すぐ帰ってくるよ。心配しないで。」

「はい。」

「それじゃ。ありがとね。」

 日比野は香澄のもとを後にした。
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