‐Fear‐
 理恵菜の部屋、リビング。ソファーでテレビを見ている優太。
食事の後片付けを終え、食卓の椅子に座った理恵菜が話しかける。

「優太君、学校で仲良い友達はいないの?」

「え?何でですか?」

「ん~、なんとなく。あんまり友達の話しないじゃない?」

「友達…。いますけど、特に仲良いのはいないかな。」

「こういう時でも友達と遊んだりすれば気が紛れるんじゃない?」

「はは、別にいいです。昔から一人の方が気が楽ですし。それに…。」

「ん?」

「今は…、理恵菜さんがいますから。僕の友達は、理恵菜さんです。」

「…優太君。」

 あまりにすっと言われたので、理恵菜は喜びも叱りもできなかった。
ただ、言われて悪い気もしなかった。

「バカね。」

 優太は優しく微笑んだ。
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