‐Fear‐
 「ただいまぁ。」

 玄関のドアを開けた理恵菜を、優太は出迎えた。

「お疲れ様です。」

「疲れたわぁ。今日はご飯買ってきちゃった。」

「はは…。ん?」

 玄関のドアが再び開いた。

 !!

「よぉ、元気?…優太君も。」

「あんた、何でいるのよっ!」

 理恵菜が吉岡を睨む。

「おぃおぃ、別に殴り込みに来たわけじゃないぜ?」

「!?…知ってたの?」

「一応、俺はな。ケーサツなめるんじゃねぇぞ。」

 優太は突然の出来事に驚いて動けずにいた。

「いつまで一緒に暮らす気だ?もういいんじゃないか?上はこの事件終わらす気だぞ。」

「まだよ。真犯人見つけるまでは…。」

「お前に何ができる?だいたい、夏休み終わったらどうする気だ?」

「それは…。」

「…夏休みの間に、家に帰せよ。」

 そう言うと、吉岡は玄関から出て行った。


「ごめんね、優太君。」

 涙ぐみながら謝る理恵菜。

「いえ、僕こそ…。」

 優太も目に涙を浮かべていた。





< 50 / 60 >

この作品をシェア

pagetop