‐Fear‐
 警察署内‐

「ご苦労だったな。吉岡。」

「いえ。でも志水が犯人の可能性ってあるんでしょうか?」

「わからん。ただ、小林優太と新島英明が自分のクラスの生徒だったのは…余計な共通項ではないか?」

「そうですね。でも動機は何ですか?」

「さぁな。まぁ、証拠もないし。今回は小林優太と妹と何を話したか聞くくらいだろ。他に疑わしいのがいないが悲しいな。」

「はぁ。」




 その日は事情を聞くだけで、すぐに志水は帰された。

 とぼとぼと歩いて帰る志水を屋上から見下ろす干潟。

「賭けだな…。他に犯人がいるかもしれんが。責任は俺が持たんと。」

 そう呟くと、干潟は煙草の代わりのようにガムを口に含んだ。
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