‐Fear‐
 仕事を終え、学校から出ようとする志水。
その正門で待ち構えている男がいる。
干潟だ。

「こんばんは、先生。遅くまで大変ですな。」

「刑事さん…。困りますよ、こんな所で。」

「いやぁ、すいません。時間は取りませんから。最近、優太君や香澄さんにお会いしてますか?」

「…いえ、会ってませんが。」

「そうですか。この間また香澄さんに会ってませんでした?」

「何なのですか?先日も言いましたが、自分の生徒を心配するのはいけない事なんですか?」

「いえいえ、すいません。そんなつもりはないんですよ…。」

「明日も早いんで失礼しますね。」

 立ち去ろうとする志水。

「香澄さんは一年生ですよね?学校では前からお会いになってたのですか?」

「いえ。ご両親のお葬式の時に会ったのが最初です。」

「そうですか。あと…。」

「もういいかげんにして下さい!!警察に呼ばれた事が学校で問題になって…働きづらくなっているんですよ!私だって…辛くて…。」

 そう言うと、志水は足早に立ち去ってしまった。

 干潟は何も言う事が出来ず、ただそれを見つめていた。
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