キミが好き
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4月9日 12:48


蓮はある教室から登校して来る新入生を眺めていた。


「あの子はケバ過ぎ…あの子は地味過ぎ…」


ブツブツ物を言う蓮は新入生を観察しているのだ。


「蓮さん、可愛い子います?」


大柄な男がベルトを締めながら教室に入って来た。


開け放った窓から風が優しく蓮の黒い髪を撫で、そして通り過ぎていく。


「見てみ」


蓮は大柄な男、結平に微笑みながら何かを指差した。


窓の外に伸びた蓮の細い指の先には新入生の山。


「どれですか、多くてわかりません」


結平が困った表情を浮かべると蓮はケラケラと笑う。


「あの子だよ、わからないのならお前の目は腐ってる」


そう言った蓮は教室から出ようと歩きだした。


「可愛い子ですか?」


慌てて結平が聞くと蓮は顔だけ振り返って言った。


「すっごく可愛い」


蓮は優しく微笑んだ。

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