菜綱の夜
プロローグ
あの時は高校の帰りに妹を迎えに保育園に向かった。

門の前には見慣れた保育士と妹がいた。

俺は軽く手を振ると妹は笑顔で俺の方に駆けて来た。

本当に不幸な事故だった。

中学生くらいだろうか?

俺より年下のガキが原付で突っ込んできた。

俺は自転車を跳ね除けると妹を庇うために飛び込んだ。

確かに妹を抱きしめたと思う。

その瞬間体に衝撃が走った。

気がついたら辺りは真っ赤に染まっていた。

そこからは思い出せない。

いつも夢であって欲しいと願った。

現実のハズがあるわけがない。

俺は妹に会いたい。

会って何を言うわけでもないが、会いたかった。

俺は一つ面白い話を聞いた。

願いを叶える黒猫、ユタロウ。

都市伝説としてこれ程有名な話はない。

このユタロウと名乗る黒猫に出会えばいかなる願いでも叶えてくれるという。

俺は信じてるわけじゃない。

だが、もしそんな神のような存在がいたら・・・・
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