菜綱の夜
「すみません、この辺りで十四、五の女の子みませんでしたか?こんな場所で変な事聞いてますが、怪しい者じゃないんで、そのすみません」

途中から言ってる意味が自分でも分からなくなった。
「ここに何か用かと聞いたんだが?」

うわ、完全に怪しまれてる。

嘘ついて後々バレるのも面倒だな。
「この病院で妹が死にました。そして」

話の途中で男は言った。
「妹の幽霊にでも会いに来たのかね?」
「違う!もし会えるなら会いたい。だけど俺は」

妹を侮辱された気がして俺は深夜だと言うのに大声を出してしまった。
「もういい。私達は忘れやすい。自分が何を考えて、どう行動すべきかもう一度考え直す事が必要だよ。」

そう一方的に言うと男はそのまま廊下の奥の方へと消えた。

あの男は俺に何が言いたかったんだろうか?
「そんな事より菜綱だ!」

俺は菜綱を探す為に走った。

三階まであがるとそこには黒い粒のようなものがいくつか落ちていた。

それは彼女が公園で食べていた麦チョコであった。
「上に続いてる。」

この上は屋上、行ってみる価値はありそうだ。
< 13 / 48 >

この作品をシェア

pagetop