菜綱の夜
ハハッ、我ながら情けないな。

猫にも見捨てられるのか、俺は草原に寝転がった。

月が綺麗な満月だった。

夜風が気持ちいい。今日はここで寝てもいいかな。

それは夜だった。もしかしたら深夜だったかもしれない。

男がいた。

黒髪に黒い服、ライダージャケットのような物だろうか?

それに黒いレザーのパンツ、その黒一色の服装に不似合いな真っ白い巨体を背にその男は座っていた。

それは大きなバイクだった。

俺はバイクに詳しくはないので車名までは分からないが、ハーレーのような形状のバイクであった。

真っ白な車体だけでなく後ろに付けてある鞄も白だった。

さらにタンクには真っ赤な炎の模様がペイントされている。

とても美しいバイクだ。

しかしこの男、寝ているのだろうか?

先程からこの男微動だにしない。

< 22 / 48 >

この作品をシェア

pagetop