菜綱の夜
「そうですか!ならば、貴方が全てを忘れる前に答えをみつけなければなりませんね!」

俺は少し動揺し激しい口調で言ってしまった。
「分かってますよそんな事!でも俺死んでるから事故関係者に話を聞くわけにもいかないし」

俺はついに自分の死を認めた。
「私はもう行かなければなりません。」

行くというのは天国とかだろうか?それともま浮遊霊のように彷徨うのだろうか?
「あっ、はい!ありがとうございました。」

俺は男に深々と頭を下げた。
「あっ、一つ思い出した。」
「えっ?」
「私達が生きていた時、調べ物をするなら?」

男が悪戯っぽく笑うとそのまま廊下を出て何処かへと消えた。
「ありがとうございました!」

俺はもう一度男にお礼を言った。

一体どのくらい時間がたっただろうか?

外は青空だった。

さっきまで深夜という色をしていた空が今では青空。

俺は走った。そして大地を蹴ると空に飛んだ。

図書館までは十分とかからずにたどり着いた。

平日の図書館と言っても意外に沢山の人間がいるんだなと俺は思った。

ガラスの自動扉の前に立つが反応しなかった。そして俺の姿も映らない。
「さて、どうするか」
俺は落ち葉が浮くイメージを頭に浮かべた。

すると命が吹き込まれたかのように落ち葉は浮かび上がり自動扉のセンサーを掠めた。

機械音とともに自動扉が開く。
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