菜綱の夜
一部省略

『少年は捕まる前に友人達に黒猫に殺されると言っていたという。そのことは・・・』

ユタロウだ!

こんな事ができるのはアイツしかいない。

俺は本を床に叩きつけると公園に向った。

俺はユタロウを許せない。

あいつはやっぱり死神だ!いや悪魔だ。

公園へ!あの悪魔を殺しに、俺の中に黒い炎が宿った感覚を覚えた。

公園には既にユタロウが待っていた。あいつ、性懲りも無く。
「ユタロウ!貴様、何故殺した?」
「何の事だ?」
「俺を殺した中坊のガキの事だよ!」
「俺は知らない。そして俺達が人間を殺める事は基本的にできない」
「フザケルな!」

俺は公園のベンチを破壊するとその瓦礫をユタロウに向け飛ばした。

ユタロウは自分に向ってくる瓦礫を気にもせずに言った。
「お前のような存在なら生者を殺せる。」

ユタロウの顔を掠めて瓦礫は地面に落ちた。
「だって黒猫って」

ユタロウは額から赤い血が流れていた。そして空を向いて指差した。
「夜だ!この夜よりももっと深く暗い」

夜?意味が分からなかった。

だがユタロウの目は嘘を言っているようには見えなかった。

ユタロウは少ししてから話し出した。
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