菜綱の夜
「お兄ちゃんはいつも側にいてくれたよ!でも時々私が生きてお兄ちゃんが死んでしまった事恨んでいるんじゃないかってずっと思ってた。」

俺は最低の兄だ。

こんなにも守ろうと思っていた妹を俺自身の鎖によってここまで傷つけてたなんて
「そんな事ないよ!君が生きててさえいてくれれば良いさ!それに俺は郁子がその年になるまで死んだ事を忘れてたしな。」

俺が冗談ぽくニカっと笑ったら郁子も涙目のまま笑い返した。
「しかし何故?郁子はユタロウと知り合いなんだ?」
「私が、お兄ちゃんと話したくてずっと探してたの!ずっと、インチキな噂も全部調べた。十一年もかかったけどついに出会えたの!本当に黒猫さんだったから驚いたけどね」
「黒猫?あいつどう見たって人間だろ?」
「うん!私たち人間と会う場合は人の姿の方がいいんだって!」

まぁいきなり猫が話し出すと普通は驚くはな、だが郁子と会った時は猫だったんだよな?

不思議な奴。
「あはは!ホント意味わかんねー奴だよな!ユタロウってさ。」
「うん」
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