菜綱の夜
~終わらない夜~
俺は十分前行動をモットーに生きている。

だが驚いた事に菜綱はすでに公園にいた。

今日は芋羊羹を丸かじりしていた。
「とーひ!」

手を振りながら菜綱は自分の位置を知らせた。
「食べながら話すのはあまり行儀が良くないぞ!」

もふもふと芋羊羹を食べる菜綱を見て俺は呆れた。
「食いながらでいい!ユタロウを探そう」
「うん」

そう言うと菜綱は俺の隣に並んで歩いた。

昨日は学校周辺を探した。

今日行く所は決まっている。

図書館までの河原道、あそこはノラ猫のコロニーが沢山あるのだ。
「今日は図書館まで行ってみよう!」
「図書館?こんな時間に開いてるの?」
「別に図書館に行きたいわけじゃないよ!あの辺りにはノラ猫が沢山いるんだ!だからユタロウも見つかるかもしれないだろう?」
「そうかぁ!でもそんな所にユタロウいんのかな?」
「さぁ、俺は会った事がないし、本当にいるのかも分からない」
「ユタロウはいるよ」
「だな!じゃないと意味がない」
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