甘夏の恋
長い長い沈黙が廊下を包む

まだ面会時間になっていないため面会に訪れる家族の姿も見受けられない

患者さんもまだ眠りから覚めて居ないようだ

そんな場所に夏達が入れるのは勿論いろいろな手回しがあったらしいが……敢えて聞かないことにした

何はともあれ私は何時もはこの空間がとても好きだ

病気も関係なく
友達と扱ってくれる人々と誰にも邪魔されず小さい声で会話しながら散歩するこの時間が……

でもここに何時もの暖かな時間はなかった

ピリピリとした空気が張りつめていて

心なしか少し苦しい

そんなことを考えていると

ふと夏の足が止まった

「あのさぁ………
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