甘夏の恋
「……たまにわ少し寄り道しよっか」

と切なそうな顔で笑った

私が小さく頷くと

夏は先ほどの来た道を戻り始めた

―――――――――――
屋上に出ると

夏は近くのベンチに腰掛け隣をポンポンと叩いた

私は促されるままに夏の隣に腰掛ける

「美佳何か私達に隠してるでしょ?」

夏の一言は予想外の言葉から始まった

予想外の言葉に頭が真っ白になる

「美佳の絵が最近ぎこちなくなってるのは分かってた
……でぎこちない作品は少なからず描者の感情が読み取り難くなるの

でもどんなにぎこちない作品になっても私にはある一つの感情がはっきり見えた
それは……」
そこまで言うと夏は私を見据えた

夏の真剣な目が私を捉える

「それは……『哀しい』

美佳の絵はどこか哀しいの」

「…っ!!」

私の心が全て見透かされたような気がした

「わたし……」
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