甘夏の恋
乾ききった口から掠れた声がでる

「あ……あの……」

中々言い出せない私を優しく見つめ
私の震える手を握ってくれた

夏の手があまりにも温かくて

私の心まで暖かくなった気がした

先ほどの緊張が嘘のように溶けてなくなる

「私……実は

私は特発性拡張型心筋症っていう病気なんだ」

夏が私の病名を静かに繰り返す
病名からして簡単な病気ではないと判断したのか表情は硬い

「特発性拡張型心筋症って言うのはね

手術の成功率は極めてひくくて10年以上生きられる人は36%しかないんだって」

私は出来るだけ冷静に答えようとしたけどどうしても声が震えてしまう

「周りの人は大抵この病気のことを聞くと私を同情の目でみてくるし
私から少しづつ離れていく……

信頼してた子も離れていった

だから友達なんて作るのをやめようと思った

こんな気持ちになるんなら…友達なんて要らないって…」

震えた声で途切れ途切れに言う私の言葉を夏は黙って聞いてくれた

「でもね……悠哉と会って生きたいと思えた。夏達に会って皆を失いたくなぃと思った」
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