甘夏の恋
―次の日―
俺は西城に昨日選んで貰った参考書と問題集を持って

美佳の病室に向かった

走りたい衝動を抑えながら一歩一歩踏みしめて歩く

病室の前に立つと
俺の鼓動は少しずつ早くなる

早く開けたい衝動にかられながらも

俺は落ち着きを払ってノックする

ノックをすると愛しい彼女の声がする

「はい」

俺はドアを開けながら軽く挨拶する

「おはよ」

そこには愛おしい人の笑顔があった
「おはよー」

ドキッ

何でもない行動にいちいちドキドキしてる

自分が自分じゃないようだ

彼女の事になると

今までの他人に対する余裕が嘘のようになくなってしまう

それは少し歯がゆいような気持ちにもなる

でも、何故か決して嫌な感じはしないんだ


俺は手に持っていた袋を軽く持ち上げて笑いながら言った

「美佳ー参考書買ってきたよ?早速やっちゃう?」

美佳は一瞬キョトンとした顔をしてから

「うん」とかわいらしく答えた

美佳は1度簡単に教えると俺でも驚くほど
すらすらと問題を解いていく

やっぱり俺の周りのが出来ないだけだったんだな

俺は妙に納得しながら美佳が問題を解いていくのを見ている

5時間位たった頃ノックの音がした

美佳は問題に集中していて気がつかない

俺が美佳の肩を軽くたたいてノックの音がしたと伝えると

俺に急に肩を叩かれてビックリしたのか

美佳は一瞬驚いた顔をして俺を見てから返事をした

ガラ

ドアの音と共に入ってきたのは意外な人物だった

「西城?」

たぶん俺は今かなり驚いた顔をしてるだろう

「なんで……こんなとこにいるんだ?」

「……知り合い?」
美佳は不思議そうに俺をみる

西城は一瞬ムッっとした顔をしてから答えた

「だって───」
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