甘夏の恋
「あぁ!そういえば西城のお父さんは院長だったな?」

西城はさっきの不機嫌な顔はどこへやらニッコリと笑った

「……でも何でこの部屋に?」

西城の親が院長だということとこの病室に来るのは関係ないよな?

「そ……それは……」

そう言って西城は黙ってしまった

だって美佳の病室は個室だ

それに、さっきの美佳の反応からして美佳の友達というわけでも無いようだ

静かな空気が部屋中に流れる

西城は思い着いたかのように言った

「あ…あのね!お…お父さんに龍崎くんがこの病室に入ったとこ見たって聞いたから来たの!昨日龍崎くんがこの病院の子に勉強教えるみたいなこと言ってたから手伝おうと思ったの!」

西城は何故か明らかに焦っているが気づかないふりをして置いた

そっか~じゃぁ一緒に勉強やろっか?

「え?良いの?」西城は驚いたような嬉しそうな顔で言った

俺は気づいてなかったんだ

美佳が寂しそうに俺を見ていた事に……

美佳と麗華の出会いによってあんな事になるなんて……この時には思っても居なかったんだ
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