甘夏の恋
さっきの一部始終を見られてたと思うと恥ずかしさが一気に込み上げてくる

「何ですか?」私は平然を装って答える

「龍崎君の事好きなの?」麗華さんが聞いてくる

「えっ?」私は驚いて麗華さんの顔を見る

そこには悠哉と居た時の優しそうな笑顔はなかった

怒りを露にした顔だった

―怖い―

私は怖さのあまりピクリとも動く事が出来なかった

そんな私を見下したように見てから話し始めた

「私は中学の頃から龍崎君が好きだったの。高校も龍崎君が今の高校に行くって聞いて自分の行けるランクを2つ以上上げたの。だから――」

そこ以上麗華さんは何も言わなかった

ただ私の事をしばらく睨んでから病室を出ていった

さすがに人の気持ちに疎い私でも麗華さんが何を言いたいか分かった

―だから、貴方みたいになんの努力もしてない人には龍崎君は渡さないから――

私はしばらく麗華さんが出ていった病室のドアを眺めていた

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