甘夏の恋
あれは…

たしか

俺が

15歳だった夏

入院した弟のお見舞いに行った時だ

喉が渇いた俺は

飲み物を買いに売店へいった

病院は広いわりに

なぜか売店はA病棟にしかなぃ

弟の病室はB病棟で

売店に行くには

まず5階に行って渡り廊下を通らなくてはいけない

病院は涼しいといってもやはり急な階段を上っていると

じめじめした汗が出てくる

「あちー…」
と俺は小さくつぶやきながら

汗をT‐シャツで拭う

売店に着くと

オレンジジュースと抹茶アイスを買い弟の病室に戻る

渡り廊下を通る途中

何故か

甘酸っぱいような爽やかな風が俺を包みこんだ

病院には普段風は吹き込まない

俺は不思議に思いながら辺りを見回す

特に変わった様子はない、

廊下を何時ものように看護婦達があわただしく動き回っていた

俺は首を軽く傾げてからその場を去った

病室に戻ると弟は居なかった

多分診察に行ったんだろう




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