甘夏の恋
鞄からウォークマンを取り出し
再生ボタンを押す

昨日ダウンロードした軽快な音楽が流れだす

俺はその音楽に身を任せながら

目を閉じる

弟がいない時は大抵こうして過ごしている

─数分後─

ばん
・・)ゞ∥壁

すごぃ音をたててドアが開く

俺は一瞬ビクッとしながら開いたドアの方を見る

こういう風に入って来るのはおれの知っている限り一人しかいない

やっぱり…

「夏希さんノックぐらいしたらどうですか?」嫌味をこめて俺が言っても

全く気にする様子もなくずかずかと病室にはいってきた

夏希さんは俺の近所のまぁ姉さん的存在の人

ここで働いてる悪ma……もとぃ自称白衣の天使(・・;

「うるさいわね。てか悠哉来てたの?中間テスト近いじゃなかったっけ?」

……中間…?

俺はフッと小さく笑ってから

「中間なんて何にも勉強しなくても出来ますよ」

そぅ俺はテスト勉強なんてした事はない

勉強何てしなくたって学校で1位になれる

まぁテストが簡単で周りがばかってのもあるけど

「これだから頭いいやつは…私なんて学生の頃は………」

夏希さんは一人ぶつぶつ文句を言っているが放っておこう

しばらく文句を言っている夏希さんを見ていると

急にはっとしたような顔をしてから

俺の方をみる

「ねえ……悠哉君」

急にニヤニヤと不気味な顔をして話しかけてきた

この顔は何か企んでるな

俺は反射的に後ろに後退りする

すると夏希さんが急に俺の腕を掴み

ずかずかと俺を病室の外へと引きずっていく

俺は抵抗してみたが全く意味がなかった

─この…ばか力─

そのまま夏希さんは気にすることもなくどんどん進んでいく

いったいどこまで行くのだろう

「もう!いい加減自分で歩きなさい!」

自分で無理やり引きずってきといてよく言うよ
と心の中で呟きながら

夏希さんの後に続く

しばらく歩いていると、

ある病室の前まで

足を止めた

そこは病室だった





< 4 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop