甘夏の恋

入り口には
『雪沢 美佳』と言う名札がついている

夏希さんは何も言わずドアを開けた

ふゎっ

心地よいかぜと共に

あの甘酸っぱい匂いが俺を包み込む

とくん

何故か俺の胸がなる

夏希さんが白いカーテンに向かって話しかける

『美佳ちゃん具合はどう？』

カーテンの向こうから返事が聞こえる

「大丈夫です。」

清んだ透き通った声だった

とくん

また俺の胸がなる

今思えば
この時点で俺は彼女に恋をしていたのかもしれない

夏希さんがカーテンを開ける

カーテンの奥にいたのは

俺と同い年位の女の子だった

髪は茶色くさらさらのストレートへァーで

白い透き通った肌

くりくりした二重でその目に

に一度見つめられたらそらせない
やばい
直感的にわかった

「初めまして」

彼女はそう言ってゆっくりと微笑んだ

これが
雪沢 美佳との最初の出会いだった。