神様ごめんなさい
幸の体は震えていた。
お腹に手をあて「ごめんね、ごめんね」と
何度も言った。
看護婦さんが来て手術室に入った。
手術台の上に横になり麻酔注射を打つ時、
幸の目には今にも、こぼれ落ちそうな涙で
いっぱいだった。そして意識はどんどん
遠くなっていった・・・・・

目が覚めると病室のベッドの上にいた。
看護婦さんがそばにいて
「大丈夫？」
「はい」
「トーストと飲み物、置いてあるから
　食べてね。で、大丈夫そうなら帰って
　平気だから」
「はい」
幸は一刻も早く病院から出たかった。
看護婦さんに「もう、大丈夫です。帰ります」
と嘘をつきトーストも食べずに病院を出た。
幸は、ふらふらになりながら大通りまで歩き
タクシーをつかまえて家に戻りベッドに横に
なり目を閉じた。夕方になり夜になり携帯が
鳴った。龍二からだった。
「はい・・・」
「今どこ？買い物から帰ってきたの？」
「今さっき帰ってきて、ちょっと休憩してた」
「メールこねーから心配したじゃん」
「ごめん」
「浮気してね～よな？」
「なわけないでしょっ」
「ならいいんだ」
「ごめん、今日はもぉ寝るね」
「あぁわかった。明日な」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」




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表紙・目次

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