ぼくうつ。
「うーん、納得できたようなできないような感じね」

「言ってるオレも
例えがこれであってるのかすらわかんなくなってきてるからなぁ……
なんか適当なこと言って誤魔化してるだけな気もするし」

「とりあえず、話は戻るけど、
パンドラのハコの希望ってものがなんなのかはわかんないのね」

「そうだね。
個々人の解釈でいいんじゃないかなぁ。
希望っていう漠然としたものだけで納得できる人もいるだろうし。
そういうのはえらい学者さんたちが考えてるんじゃないかな」

もうこの頃になると僕は、
彼女を押し倒すとかそんなことはどうでもよくなっていて、
純粋にこういう会話のやりとりを楽しんでいた。

「一樹くんはどう思うの?」

「そうだね、オレは……
『生きない』っていう希望じゃないかな、と思う――」
< 11 / 28 >

この作品をシェア

pagetop