ぼくうつ。
6階建てくらいのお城は、
泳げそうなくらいの堀に囲まれ、
敷地内は芝生がロープで囲われ、
その中に松やつつじだと思われる木が生えていた。

さっきまでのアスファルトだらけの町並から急に変わって、
視界が広くなり、
自然の空気を感じる。

それは芝の上や、
道の脇に少し積もった雪が、
さらに僕にそう感じさせたのかもしれない。

空はぼんやりと曇っていたし、
寒さも十分だったので、
もしかしたら雪が降るかもしれないなぁと僕は淡い期待を抱いていた。

すぐ近くが道路なので、
車の音が聞こえていた。

彼女は少しかけあしで、
道の脇にある雪を手に取り、
無邪気な笑顔をこちらにむけ、
雪を僕に投げつけてきた。
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