ぼくうつ。
前門の鳩、後門の鳩。

まったく彼らをかわすことができそうにない僕は、
どうしたもんかと困っていた。

まぁ、足を動かせばきっと避けてくれるだろうと信じ、
一歩踏み出そうとしたら、

「あー、待って。動かないでよ。
せっかくの面白い光景なのに」

ころころと中学生の女の子が笑うような声で楽しそうに彼女が僕に注文をつけてきた。

カメラを構えている。

おそらくこの状態を写真におさめたいんだろう。

仕方がないのであげた足を元の位置に戻し、
彼女が写真を撮り終わるまで大人しくすることにする。

なおもクルッポークルッポーと鳴き声をあげながら、
僕のまわりをうろつく鳩たち。

動物の言葉がわかるなんていう能力はもってないが、
おそらく餌をねだってるのだろうから、
豆の残りを全部ばらまいてあげた。
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