ぼくうつ。
「どうしたん?
あまり乗り気じゃない?」

「そういうわけじゃないの。
ちょっと……」

「ちょっと?」

「……なんでもない。
早く先行きましょ」

彼女が何かをいいかけて止めたとき、
どれだけ追求しても答えてくれないことと、
どんどん不機嫌になっていくのは、
今までの経験でわかってたから、
僕はそれ以上追及しないことにした。

とりあえず、彼女のぬくもりを感じていられればいい。

あまり欲を出していろいろ望みすぎると、
よくないことが待ってるから。

それも経験でなんとなくわかっていることだった。

「あの位置からの写真もいいのが撮れそう」

彼女が手をはなし、かけだす。

「あっ……」

僕はゆっくりと腕が下がっていくのを感じながら、
離れていく彼女の背をみていた。

追いかけようとする。
< 28 / 28 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop