ぼくうつ。
「ふむ。これからのことが不安なんだね」

「うん。だって私、茨城から出たことないから。
友だちも親戚もいない、
こっちでやってけるかどうかって怖さもあって」

「オレも同じだよ。
だから二人でがんばっていけばいいじゃん。
それじゃダメ?」

「でも、やっぱりケンカとかしたりしたら、
私居場所ないし」

「んー……確かにそうだね。
ケンカしないなんて自信もって言えないもんなぁ」

「私にとっては、今までの関係のが幸せなの。
時間のある時に会って、
いつもじゃなくて、たまに一緒に過ごして、
それでまた距離おいてって関係が。
一緒にいる時間が長くなれば長くなるほど、
やっぱりなんか怖い」

「そっか……
でも、一緒に暮らしてくれるって約束したじゃん。
だから、オレも長野で働くことにしたんだし。
キミが来てくれないと、オレは寂しいなぁ。
寂しさで死ぬかもしれないよ」

「もちろん、約束したことだから守ろうとは思うけど。
不安だってことを知っててほしかったの。
付き合う前にも言ったけど、
私はいったん別れたりすると、
もう連絡とったりしなくなるようなタイプだから、
今の一緒に楽しい話ができたり、
素敵な時間が過ごせたりっていうことができなくなるのも怖いの。
でも、付き合ってみたら大丈夫だったし、
今度もきっと大丈夫だとは思うんだけど……やっぱり怖くて」

なんだか本当に不安そうな彼女の肩に手を伸ばし、
こっちにひきよせ軽く抱きしめた。
< 4 / 28 >

この作品をシェア

pagetop