ぼくうつ。
「わかった。
じゃあ、不安が早くなくなるように、
キミが幸せだと思えるようにがんばるよ。
仕事帰ってきてからも楽しい話ができるようにするし、
週末もあちこち行ったりしよう。
それに月に1~2回くらい茨城行って、
キミは実家帰って、
オレは大学の友だちに会ってって、
そんな感じで生活するってのはどう?」

「うん。それならがんばれそうな気がする」

彼女はようやく僕の顔を見て微笑んだ。
その頬がほんのりと赤くなってて、
おまけにお酒のせいなのか触れてる彼女の体が火照ってて、
それが心地よくて、
このままベッドに押し倒して服を脱がしたいなぁ、
なんて思いながらも、
不安な気持ちを打ち明けた彼女をいきなり襲うのも不謹慎だよなぁ、
なんて考える僕もいて、
とりあえずオスとしての本能を抑えながら、
ささやかに感じていた疑問をぶつけた。

「ちなみにハコに残された希望って何なの?」

そう、彼女は絶望に関するようなことは言っていたが、
パンドラの話では、
最後にハコの中に希望が残っている。
その希望とは、
彼女にとっての結婚することで残される希望とは、
何なんだろうというのが僕の疑問だった。
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