ぼくうつ。
「なんかオレの好きな小説を思い出したなぁ」

「どんな小説?」

「ラノベなんだけどね。
死神って言われてるヤツがでてくるシリーズの3作目なんだ。
思い出したのは、
その小説のプロローグみたいなもんなんだけどね。
パンドラのハコの話についての一つの解釈が書かれてたんだ。
オレはそれを読むまで、
パンドラのハコの話は知ってたけど、
その希望ってもんがなんなのか考えたことなかったからさ。
それで読んで衝撃を受けたね」

「へー、どんな話なの?」

僕は昔、無駄に本を読んでたから、
雑学的な知識なら豊富な自信がある。

そういうのをふとしたきっかけで思い出して、
彼女に話すことがよくあった。

それは僕はこんなことを知ってるんだよ、
っていうある種自慢みたいなものもあったのかもしれないけど、
自分としてはそういう知識を知ることで得られる喜びってやつを
誰かに伝えたいっていう思いから、
話すことのが多かった。

聞く人によっては、
『へー、よく知ってるね、だから?』
っていう反応をされるけど、
彼女は知的好奇心が旺盛なので、
僕のそういう話をホントに面白そうに聞いてくれた。

だから、僕はそういうことを話すのが楽しかった。
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