【奏】雪に願う事
「次は
ハートの形してるのが
いいな」


そうはにかんだ泰生先輩に

たぶん私は…
真っ赤になってる…
笑顔を向けて頷いた。




「なぁ、心暖?」



「はい」



「だから、敬語止めろって」



そう言いながらも
優しい泰生先輩。


またその瞳に吸い込まれる…。




「俺の彼女になって?」




「……ふぇっ…うぅ…」




夢にまで見た台詞。


絶対聞く事ないと
思ってたのに…。


涙が溢れ出てくる。




「泣きむし、返事は?」



「彼女に…してください」




そのまま抱きしめられた。




「なぁ最初に会った日
覚えてるか?」


クスクス意地悪そうに笑う声。



「私が教科書
ばら撒いた日ですか?」


思い出すだけで恥かしい。


「そうそう
あの日の心暖は凄かったな」


覚えて…たんだ。


「もう言わないでください」


口唇を尖らすと
上から見下ろしてたようで
クスッと笑われた。



「じゃあ、敬語止めるか?」



「えっ…うん」



「宜しい」



そう言いながら
離れていく泰生先輩。





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