【奏】雪に願う事
泰生先輩は
〝またおまえかよ"
とでも言いたげな視線を
チラッと向けただけで
そのまま歩いて行ってしまった。
「キャーっ!!
こっち向いてくれたよ~」
「あんたも毎朝、懲りないねぇ」
「いいんだもーん
こっち向いてくれただけで
嬉しいもん」
キャーキャー喜ぶ私に
澪はますます呆れ顔。
これも毎朝の光景。
「あんなに冷たいのに
心暖も懲りないねぇ」
そんな事ないよ?
確かに泰生先輩は
普段ノリは良くないけど
本当は優しい人なんだよ…。