りんごゆき
その日、柊くんのアパートに行くと、階段を下りてくる大剛さんを見かけた。
大剛さん1人で柊くんの家に来ることは珍しくなかった。
バンドメンバーはよくお互いの家を行き来していたし。
でも、その日は違った。
いつもの大剛さんの雰囲気じゃなかった。
私が話しかけられないぐらい、その時の大剛さんは恐かった。
怒っているのか、悲しんでいるのか、分からない複雑な表情をしていた。
大剛さんのこんな顔を見たのは初めてで、私はびっくりしてしまった。