りんごゆき
すると、その人は初めて顔を上げた。
ゆっくりと私のほうを向いた。
さっぱりした醤油顔。
第一印象はそんなもんだった。
「君、ギター知らないの!?」
「しゃべったぁ!!」
私ははしゃいでパチパチと1人拍手した。
「へっ?」
男の人は細めな目を丸くして私を見る。
「俺に話しかけてたの?」
「他に誰がいるの??」
その人は回りをキョロキョロ見渡した。
私たちの回りには、足早に通り過ぎていく人しかいない。
「ごめん、俺じゃないと思ったんだ。」