りんごゆき
無視されてたわけじゃなかった。
なんだか嬉しくてふっと笑ってしまった。
そうじゃなくても、その時はとっても不安な気分だったから。
「隣で女の子の声が聞こえたけど、まさか俺に話しかけてたなんて驚きだなぁ。」
顔覗き込んで話しかけてたのに、自分じゃないと思ったらしい。
おかしな人。
「女の子が遅い時間うろうろしてたら危ないよ。
早く帰った方がいい。」
「でも…、帰らないって決め…」
「でもじゃないの。
家出はよくないよ。」
ビシッと言葉を遮られてしまった。