りんごゆき
11.旅立ちの唄
別れの日も出会った日と同じ、雪が降りそうなほど寒い日だった。
駅の明かりが見えてきた。
柊くんのアパートから徒歩20分もかかる最寄り駅。
何回も一緒に歩いた商店街を私たちは無言で歩いていた。
2人でこの道を歩くのはこれが最後だってお互い分かっていた。
私は考えた贈る言葉なんてとっくに忘れちゃっていた。
「ここで大丈夫だよ。」
立ち止まって柊くんは言った。
暗くて顔はよく見えなかった。