りんごゆき
3.ある雪の日の唄



その年、本当に雪が降ったのは柊くんと出会ってから1カ月たった頃だった。





いつも決まって水曜日と土曜日の夜8時。

柊くんはその駅前の広場にいた。



「いつも聞くことだけどさ、」

私は何重にも巻いたマフラーの中に顔を埋めながら聞いた。

「寒くないの?」



セーターを引っ張って指先まで隠す。

ポケットからカイロも取り出して握り締めた。



柊くんはいつも薄着だった。

私はこんなに防寒ばっちりなのに、その日だって長袖1枚羽織っているだけだった。

見ているこっちが寒い。

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