りんごゆき
私は走って商店街の横道の階段を上った。
短くて狭い階段だ。
上りきると小さな公園。
そこに柊くんは仁王立ちで立っていた。
寒くなかったのかな?
「チケットを見せて下さい。」
柊くんが他人行儀に言った。
私が息を切らせながら握り締めていたチケットを見せると、柊くんは小さなベンチに私を座らせた。
そして自分は丸太の形をした遊具の上に立った。
持ち運びしやすい小型のアンプに繋いだギターを肩にかけて。
公園にある街灯がちょうど柊くんを照らしていた。
なんだか本当にステージみたいだって思った。