りんごゆき
「噂?」
「ここら辺一体土地改革するらしいよ。
住宅地を増やすらしい。村おこしみたいなもんだってさ。」
柊くんの説明に、
「そんな…。」
言葉が出なかった。
「さ、かりん、ちゃんといつもの席座って。」
柊くんは明るく、私をいつものベンチに導いた。
私は全然明るくなんて振る舞えなかった。
秘密基地がなくなるって事実を頭が勝手に拒否していた。
それなのに、考えるのはそのことばっかで。
頭を巡るのは、どうにかならないかとそればかり。