ちいさなおはなし(交差したレール)
「転校、するの?」

その子との最後の集会で、私は恐る恐る聞いた。

まだ、自分の未来を信じたかったから。
自分の未来に、いて欲しかったから。

「うん」

うなずいたその子の目と、体育館の窓から見える夕日。
どっちも同じくらい綺麗だった。

悲しいと言うよりは、驚いたんだと思う。

未来は、そう簡単に自分の思い通りにはならないことと、

その子が、悲しそうな顔を誰にも見せなかったことに。
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