ちいさなおはなし(交差したレール)
その子が転校するまで、あと何日かな。
また、話せるかな。

そんなことを考えていたある日、その子が私の席までやって来た。

「これ、あげる」

手渡されたのは、かわいらしい動物モチーフのキーホルダー。

突然だったから、ただただ驚いた。

その子はいつものように笑っていて、今までと何も変わらないのに。
私は胸が苦しくて、うまく笑えなかった。

後ろの席の女の子が、しきりに羨ましがっていたけれど。

私は、このキーホルダーと引き換えに、その子がいなくなってしまうことが、嫌だった。
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